沖縄の宮古島で、「E3実証試験」と称して、宮古島の砂糖きびから生産される砂糖の副産物の糖蜜を利用したバイオマスエタノールの製造技術を開発すること、そしてそのエタノールを添加したガソリンをその地域において自動車用燃料として供給することで地域内の生産・流通・消費システムが成立するかどうかを見極める、という国費を使った実験が行われています。
この実験の発端は言うまでもなく「京都議定書」です。 この実験プロジェクトは国から独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO) 」に委託され、さらに
NEDO から沖縄の石油卸販売会社の「(株)りゅうせき」に再委託されて、宮古島の沖縄製糖(株)の工場内に砂糖きびの副産物の糖蜜からエタノールを製造する実験プラントが設置されました。
このエタノール製造の最終工程ではゼオライト膜と呼ばれるナノレベルの多孔質フィルターでエタノールと水の分離が行われますが、この部分を私が勤めていた会社の同僚の友人3人が担当しています。
このエタノールを
3% 混合したガソリン
(E3ガソリン)
が「バイオガソリン」、「環境にやさしいガソリン」、「地球温暖化を防止するガソリン」などと称して島内のスタンドで供給されています。 このようなエタノール混合ガソリンの生産から消費、さらに生産の過程で発生する廃棄物の処分や生産に必要なエネルギー供給、それにガソリンの販売と消費など、すべてがこの限られた地域の中でクローズドサイクルで達成できることを実証しようという題目で行われているのが
NEDO の「E3地域流通スタンダードモデル創生事業」です。 このクローズドサイクルを表す図はいかにも素人受けするように作成されています。

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クローズドサイクルが極めて危ういことは誰の目にも明らかです。 サイクルの中のどの一つの要素が理想や前提から外れた時、このサイクルは成り立たずに崩壊してしまいます。 その例としては、砂糖きび生産量の変動、砂糖生産・出荷量の変動、ガソリン価格の変動、ガソリン品質に対するユーザーの懸念、廃棄物の飼料・肥料の農家の引き取り拒否、プラントの故障、台風被害などなどです。 さらにこのサイクルには現在は実験ですので国の莫大な費用が投入されています。 また「全島
E3
化」と称してバイオエタノール混合ガソリンの普及を目指していますが石油業界の反発は強いようです。 今年の春からは環境省の予算で生産量を増強した新しい製造実験プラントが完成して稼動して供給量を増やしていますが、果たして需要があるのか疑問です。 このシステムは国の費用が投下されない時、社会インフラとしては機能しないでしょう。
添加量3%では効果が少ないとして、NEDO
は今年度から混合量 10%
の「E10ガソリン」の実験にシフトするとしています。 しかし
10% もアルコールを添加するとエンジンのアルミやホースなどのパーツを腐食したり、エンジン出力の低下を来たすなど、石油業界、自動車業界やユーザーの反発が激しく前途多難です。
しかしなぜこの実験が「宮古島」で「砂糖きび」なのかを考えるとき、砂糖の国際価格は国内生産のそれに対して極めて安くなっており、宮古島の砂糖きび農家の経営が成り立たなくなっているおり農家にばら色の夢を期待させ、国の費用をせしめる良い機会とばかりに企む「独法」とそれに悪乗りする企業や地元政治家などの思惑が働いていることは否めません。
世界はエコビジネスで浮かれていますが、CO2
が地球温暖化の原因であるとする
IPCC の評価報告書の正当性が疑われ始めた現在、馬鹿を見るのは誰なのでしょうか。
参考: (株)りゅうせき 宮古島バイオエタノールプロジェクト
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