|
第3日(6月22日・水) ザーネン(スイス)〜コルプス(フランス) 379km
朝食のためにレストランに行くと見慣れない男がグループに同席していた。彼が昨日の事故の一報を受けて代車をミュンヘンから夜を徹して運んできてくれたのだった。同じロードスター(R1150R)で、聞けば昨日の車と同時に登録した新車とのことで走行距離は1002kmであった。
出発するとすぐに街道から離れて山道を行く。ピヨン峠(Col
de Pillon 1546m)、そしてクロワ峠(Col de la Croix 1778m)を越えて、下りてくると大きなローヌ川に出る。往来の激しい川沿いの街道を行き、マルティニ(Marthiny)の町まで来ると前方を大きな山が遮っており、その大斜面のブドウ畑を横切って道路がはるか高いところまでつながっている光景を見てはたと気がついた。昨年バスで通って興奮したあの大斜面の道だ。ブドウ畑の道をずんずん上って行くとマルティニの町が手に取るように眼下に広がる印象深い道路である。フランスのシャモニーへ抜ける街道である。ここをバスで通る多くの日本の観光客もきっとこの印象の強い斜面の道を覚えているはずだ。
フォルクラ峠(Col de la Forclaz 1526m)を越えるとまもなく木立の中の道にスイスとフランスの国境がある。ゲートの建物では車やオートバイを数人の警備員が監視しているが止められもせずパスポートの提示もなしでゆ っくりと通過する。やがてモンテ峠(Col
de Montetz 1461m)を過ぎるあたりからモンブラン(Mont Blanc)が見えるはずだ。 峠を少し下ったあたりの小さいカフェで休憩を取る。手前の山の稜線のはるか向こうに丸くて白い山が見えた。昨年は天候の具合や立つ位置の関係でよく見えなかったモンブランとの再会である。この山道を下るにつれてはっきりと見えてくる。モンブランの北に聳え立つエギーユ・デュ・ミディ、シャモニーの町に流れ落ちているかのようなボッソン氷河、そして去年ケーブルで登ってモンブランを探したブレヴァン展望台。 一人興奮してシャモニーの町を抜 けリゾート地のサンジェルヴェレバンの明るいテントのカフェで昼食を取り、街道をアルベールヴィル(Albertville)へ。イセール川(Isere)を20km程遡上して、山の中の道へ入る。
山の中の道はマドレーヌ峠(Col de la Madeleine 2000m)、 グランドン峠(Col
du Glandon 1924m)、そしてオルノン峠(Col d'Ornon 1371m)
と続き、美しいコルプス村(Corps)の宿に到着。 この日は大小7つの峠を越えた。 コルプス村のホテルは昔ながらの山の宿という感じで1階がレストランで2階が客室であるが、私にあたった部屋は、その上階の小さな屋根裏部屋でベッドの上は屋根の傾斜になっていたが、狭いながらも面白い体験となった。
さて、ここはフランスである。 1階の立派なレストランにはオルゴール(ストリートオルガン)も置かれてブカブカドンドンとうるさいが、 きちんとした身なりの客が優雅なディナーを楽しんでいる。 メニューはフランス語だけで書かれウェイトレスはフランス語しか話さない。 われわれの仲間は誰もフランス語を解さないので英語やドイツ語で聞いても無視される。 アメリカ人のジェフとアダムはここでも相変わらずふざけてウェイトレスにちょっかいを出すが相手にしてもらえず、さらに気を引こうとついに他の客に用意されたオードブルをつまみ食いしてしかられてしまう始末。 こんな山の中であるにもかかわらず山盛りのオイスターや魚料理もでる豪華な夕食となった。 おなじヨーロッパでもフランス人独特の気質と食文化の違いがはっきりと示された一夜であった。
第4日へ |